頑張りすぎないリハビリの続け方〜生活期のモチベーションを保つ3つのコツ〜
- 齊藤 亜沙美
- 15 分前
- 読了時間: 7分

最近は急に寒くなってきて冬が近づいてきたことを実感することが増えてきましたね。
寒くなってくると身体が強張ってしまったり、痛みが出やすくなってしまいます。
それらの体への悪影響があるとなかなかリハビリを頑張っていても続けていくためのモチベーションが下がってしまったりませんか?
今回は、ご自宅でリハビリを続けていくためのモチベーションを保つ方法についてご紹介していきたいと思います!
目次
やる気が出なくなる理由
脳卒中(脳梗塞/脳出血など)のリハビリを続けていると、ある時期から「前ほどやる気が出ない」「リハビリがつらく感じる」といった気持ちになることがあります。
特に退院後の“生活期”では、体の変化がゆるやかになり、成果が見えにくくなるため、頑張りが報われないように感じる方も少なくありません。
病院では、リハビリスタッフや看護師など様々な人から声をかけてもらう機会が多くあります。
リハビリ時間についても、多い日は1日3時間のリハビリがある時もあります。
これらの環境はやる気のあるなしに関係なく、全員平等にリハビリを受けられる制度であり、サポート体制も多く続けやすい環境と言えます。
しかし、そんな回復期病院を退院し、外来リハビリやデイケア・デイサービス、訪問リハビリなどを活用していても、入院中に比べてしまうとリハビリ時間は短く家族以外の人と関わる時間も少なくなってしまいます。
このように他の人(家族でも病院のスタッフでも)に『頑張ってますね』、『ちょっと動きが良くなってきたんじゃないですか?』など、ちょっとしたことでもほめてもらえる、声をかけてもらえる環境というのは実はとても大切なことなのです。
人間は他者に声をかけてもらう、特にポジティブな声掛けがあると、脳内でドーパミンを分泌させることができます。
このような他者から認められる、ほめられることで喜びを感じることを【社会的報酬】といい、リハビリを続けるためのモチベーションに繋がりやすくなります。
また褒められることで嬉しく感じる、そのためにもっと頑張ってまた褒めてもらいたいから頑張るといったように、目的を外部に位置づけすることを【外発的動機付け】といいます。
こちらも意欲を継続させるためには必要なものになります。
社会的報酬と外発的動機付け
社会的報酬とは、Abraham H. Maslowというアメリカの心理学者が提唱した欲求階層説という人間の欲求を層に分けて分析する中の一部になります。
社会的欲求が満たされる=社会に属している感覚がある(人に褒められる、場合によっては会話をするだけでも満たされる場合もあります)というものが社会的報酬と言われます。

人間の動機や行動は「生理的欲求 → 安全欲求 → 社会的欲求 → 承認欲求 → 自己実現欲求」の順で満たされていく、と説明されています。
外発的動機付けとは、Edward L. DeciとRichard M. Ryanにより提唱された自己決定理論の一部です。
外発的動機付けの他に、【内発的動機付け】があり、以下のような内容になっています。
内発的動機づけ(intrinsic motivation)
行動そのものが楽しい・興味があるなど、内面から生まれる動機
外発的動機づけ(extrinsic motivation)
報酬、承認、評価など外部から与えられる要因によって行動する動機
この欲求階層説や自己決定理論などはリハビリ場面でも活用されることが多く、特にモチベーションなどやる気をUpしていただくためには大切にされる理論となっています。
これらのような【外部からの刺激】が減少することもモチベーションの低下の一因となります。
でも、リハビリは“頑張り続けること”よりも、“無理なく続けること”がより大切です。
次は、生活期のリハビリでモチベーションを保つための3つのコツをご紹介します。
モチベーションを保つ3つのコツ
コツ①
「できること」より「やりたいこと」に目を向ける
リハビリ場面では、目標を設定することから始めます。
ただ、多くの方からは『歩けるようになりたい』、『手が動くようになりたい』という目標を聞くことが多くあります。
この目標はとてもいいのですが、もっと具体的にしていくことがとても大切になります。
「杖なしで歩きたい」「手をもっと動かしたい」といった目標も大切ですが、具体的にしていくと『孫と手をつないで買い物に行きたい』、『料理をするために手を動かしたい』など具体的にしていくことでリハビリの内容がより目標に近いトレーニングを組むことができます。
またこれらの『やりたい』目標では前述した【内的動機付け】に位置づけされ、よりリハビリへ取り組む意欲を高めることができます。
さらに、長期目標と短期目標に分けて考えると、リハビリへの取り組みがぐっと具体的になります。
長期目標:「孫と一緒に公園に行きたい」「自分で料理を楽しみたい」といった、生活の中で実現したい大きな目標。
短期目標:「まずは家の中で杖なしで5分歩けるようになる」、「麻痺したほうの手で野菜を抑えて切る」といった、すぐに取り組める小さな目標です。
短期目標は達成度が目に見えるため、成功体験を積み重ねやすいのが特徴です。
目標を達成すると、脳内ではエンドルフィンやドーパミンが分泌され、気分が高まり、やる気がさらに湧いてきます。
こうした脳の仕組みを活用することで、無理なくモチベーションを保ちながら、リハビリを続けやすくなります。
コツ②
小さな変化を「見える化」する

生活期のリハビリは、少しずつ確実に変化していく期間です。
しかし、その変化は毎日見ている自分では気づきにくいもの。
たとえば、
前より疲れにくくなった
手の動きがなめらかになった
階段の上り下りが少し楽になった
このような“小さな変化”も大切な成果です。
『こんなの大した変化じゃない』、『もっとできるはず』とがっかりするのではなく、『ちょっとしたことだけどこんな変化があった』と感じるようにすることがリハビリ意欲を維持するためには有効です。
見える化するためには、同じ動作をリハビリの前と後で動画に撮る、【数値化】するなどの方法がイメージしやすくなります。
例えば、歩く姿勢を動画に撮ってリハビリ前と後で比較したり、歩く速度や歩幅、歩数など数値化しやすい点はいくつかあります。
このように【歩けるようになりたい】という目標ですが、【杖無しで5mを10秒以内で歩けるようになる】など具体的な目標があるとより、モチベーションを保ちやすくなります。
コツ③
一人で頑張りすぎない
前述したように、周囲の声掛けや反応などはリハビリのモチベーションを維持するためには必要な要素です。
退院後は「自分でリハビリしなきゃ」と感じる方も多いですが、孤独なリハビリは続けるのが難しくなります。
専門家や仲間と関わりながら取り組むことで、「やってみよう」「続けてみよう」という前向きな気持ちが生まれます。
他にも、遠方に住んでいる家族や昔からの友人に会うなど、声をかけてもらうことだけでなく、【その人たちに会う】という目的自体がリハビリの原動力になることもあります。
リハビリを続けていくためには一人で頑張ってできることも多くありますが、それ以外に他者と関わることで得られることもたくさんあります。
同じような病気や困りごとを相談できる当事者会やリハビリ施設を定期的に活用するなど、他者と関わる機会を積極的に持つようにしていきましょう。
今回ご紹介した方法以外にも、モチベーションを維持・向上させる方法は色々ありますが、まずは一人で悩まず、周囲の専門家(リハビリスタッフや医師など)に相談しながらリハビリを行うようにしましょう。
またリハビリ方法やモチベーションを維持するためのトレーニング方法などについても担当リハビリスタッフや専門家(理学療法士/作業療法士/言語聴覚士など)に相談しながら行うようにしましょう。
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