作業療法士が教える!自宅でできる脳トレで脳を元気にする方法
- 齊藤 亜沙美

- 8月21日
- 読了時間: 7分
更新日:9月12日

今年も厳しい暑さが続き、「暑くて外に出るのが億劫…」という日が増えていませんか?
外出が減ると身体の運動量が落ちるだけでなく、人との会話や景色から入る新しい刺激も少なくなります。
実は、脳も筋肉と同じで使わないと機能が低下してしまいます。
特に高齢者や脳卒中(脳梗塞/脳出血)を経験された方の場合、「使わない期間」が長くなると、記憶力や集中力、判断力などの低下が目立つこともあります。
そんな時こそおすすめなのが、自宅でできる脳トレ。
脳トレは単なる暇つぶしではなく、科学的にも脳を活性化し、認知機能を守る効果が期待できる活動なのです。
今回はその『脳トレ』がなぜ脳にいいのか、どんな方法がいいのかを専門家として皆様にご紹介していきたいと思います!
目次
脳の基礎知識:シナプス結合と可塑性

脳の中には神経細胞(ニューロン)と呼ばれる細胞が数千億個も存在し、脳に入ってきた刺激を電気信号と化学物質で情報をやり取りしています。
このやり取りが行われる接続部分がシナプスと呼ばれる細胞です。

このニューロンがいくつものシナプスを形成し、ニューロンからニューロンに情報を伝達するのですが、この回路には以下のような性質があります。
よく使う回路:シナプスのつながりが強化され、信号が通りやすくなる
使わない回路:つながりが弱まり、情報が伝わりにくくなる
この性質を脳の可塑性と呼びます。
つまり脳は固定された配線ではなく、経験や学習によって形を変えられる臓器なのです。
脳卒中(脳梗塞/脳出血)になるとニューロンと呼ばれる細胞が多く損傷してしまいますが、問題なのは損傷だけでなく、損傷した周囲のニューロンも働きが低下するということです。
リハビリでは損傷した部位を直接よくするために行うだけではなく、この損傷した周囲のニューロンの働きを活性化及び、新しい回路を作るために行われることが多くあります。
新しい回路を作るなどシナプスを活性化させるために脳トレを行うのですが、脳トレを行うと、「課題に挑戦」→「できた!」→ドーパミン分泌→シナプス強化という流れで脳の回路が育ちます。
この仕組みこそ、脳トレが脳の健康維持や回復に有効な理由です。
なぜ脳トレは脳を刺激するのか?
脳トレは、パズルや計算、言葉遊びなどで脳に“ちょっとした負荷”をかけます。
この「負荷」は脳にとって小さな挑戦となり、成功した時に報酬系ホルモンが分泌されます。
■ 報酬系ホルモン=ドーパミンとは
難しい課題を解いたとき、新しいことを学んだときに分泌
「やる気」「楽しい」という気持ちを生み出す
神経細胞同士のつながり(シナプス)を強化し、脳のネットワークを作り直す
このようにシナプスを強化するためにはドーパミンなどの報酬系ホルモンを作り出す必要があります。
しかし、このドーパミンなどの報酬系ホルモンを生み出すための回路も使わなければ活動が弱まってしまいます。
そのため、“ちょっとした負荷”をかけてドーパミンを作り出す回路を少しずつ刺激していくことが大切なのです。
その他の報酬系ホルモンについて
セロトニン
「幸せホルモン」と呼ばれ、気分の安定に作用する
運動や朝日を浴びることでも分泌され、脳の落ち着きや集中力をサポート
オキシトシン
「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」と呼ばれ、安心感を得るために必要なホルモン
他者との接触(会話だけでなく、身体的な接触)をすると分泌されやすい
エンドルフィン
「快感ホルモン」「脳内麻薬」と呼ばれるホルモン
運動や笑いで分泌され、ストレス軽減・幸福感アップに作用脳卒中と高次脳機能障害
脳卒中(脳梗塞/脳出血)後には、麻痺や感覚障害といった身体の症状に加え、高次脳機能障害と呼ばれる認知機能の障害が生じることがあります。
代表的な症状には
記憶障害:新しいことを覚えにくい、すぐ忘れる
注意障害:集中できない、気が散りやすい
遂行機能障害:計画を立てられない、順序を間違える
等があります。
これらは日常生活に大きく影響しますが、脳の可塑性を活かした繰り返し刺激によって改善や代償が可能です。
そのため、医療・福祉の現場でも脳トレを取り入れたリハビリが広く行われています。
高次脳機能障害に効果的な脳トレ例
① 記憶系トレーニング

神経衰弱(トランプ)
カードの位置を覚えてペアを揃える
ペアにするカードの枚数で難易度を調整しましょう
買い物メモ記憶ゲーム
5〜7個の品物を覚えて再現する
覚えておく時間の間隔を伸ばして難易度を調整しましょう
② 注意・集中力トレーニング
間違い探し
細部に意識を向ける習慣をつける
色を塗る細かさや複雑さで難易度を調整しましょう
条件付き色塗り
「赤い動物だけ塗る」など選択的注意を鍛える
番号付き塗り絵などインターネット上にあるようなものでもOK
色や絵の数で難易度を調整しましょう
③ 計画・遂行機能トレーニング
料理の手順練習
レシピ通りに順番を守って作る
まずはレシピや手順を書き出すところから始めてみましょう
工程や食材の数で難易度を調整しましょう
模型やパズルの組み立て
完成までの工程を計画し実行
工程の数やピースの数で難易度を調整しましょう
④ 言語系トレーニング
しりとり
語彙の検索と発声の二重刺激
文字数の制限や回答までの時間を設定するなどし、難易度を調整しましょう
音読
発声と内容理解を同時に行う
文章の長さや読み上げる速度で難易度を調整しましょう
自宅で脳トレを続けるコツ
短時間でも毎日行う
5〜15分でOKですので、まずは“ちょっとした負荷”をかける練習から始めましょう
“少し簡単”から始める
成功体験を積みやすくするために、簡単に成功できる問題から行うようにしましょう。
慣れてきたら少しずつ難易度を上げたり、“難しくてもできた”という経験を得るようにしましょう。
難易度が高いことが達成した場合はドーパミンの量が増えると言われるので、慣れてきたら“何とかできた”のラインを目指してみましょう。
記録をつける
できた問題数や時間をメモし、自身がどれくらいの量の課題を行ったかを振り返れるようにしましょう。
少しずつでも増えてきたことが実感できると、そこでも“達成感”を得ることができます。
誰かと一緒にやる
一人で行っているとなかなか長続きしにくいかもしれません。
他の方との会話や交流から刺激が得られることもありますし、だれかと一緒に頑張るということでやる気が続くこともあります。
飽きる前に課題を変える
毎日同じ課題を同じ量行っていても、脳内のシナプスは刺激されにくく、回復速度は遅くなる傾向にあります。
様々な課題を行うなど変化を持たせて新しい回路を刺激するようにしましょう。
夏に快適に脳トレするための工夫

せっかく課題に取り組み始めての、夏の暑さのせいでやる気がなくなったり、続けられなくなるなんてことはよくあります。
まずは環境を調整し、快適に脳トレに取り組めるようにしましょう。
例えば、
涼しい時間帯(朝・夕方)に行う
水分補給をこまめにする
明るい場所で行い、目の負担を軽減する
扇風機やエアコンで室温を適度に保つ・・・etc
体調に合わせた環境で無理せず脳トレを行うようにしましょう。
今回ご紹介したトレーニング方法の他にも脳トレや高次脳機能のトレーニング方法はたくさんあります。
お身体の状態や能力に合わせてトレーニング方法を選択するようにしましょう。
トレーニング方法については、担当のリハビリスタッフや専門家(作業療法士や言語聴覚士など)に相談しながら行うようにしましょう。
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