運動失調症は、麻痺がないにも関わらずスムーズな動作を妨げる症状であり、生活に支障をきたしてしまう状態です。
運動失調症には種類があり、リハビリテーションでは、症状と照らし合わせて治療を進めることが重要です。
この記事では、運動失調症に対して、「自分でできるリハビリをしたい」「運動の内容を詳しく知りたい」という方のために、上肢・体幹・下肢それぞれの自主トレーニングをご紹介します。
【目次】
運動失調症の種類と症状について
自主トレーニングをご紹介する前に、運動失調症の特徴について解説します。
病気を理解することは、適切なトレーニングの理解にも繋がります。
運動失調症の種類とそれぞれの症状についてしっかり把握しておきましょう。
ここでは、脳と関連する運動失調症の種類についてご説明します。
①小脳性の運動失調症
脳の中でも「小脳」と呼ばれる部分は、スムーズな動作に関与する重要な場所です。
さらに、小脳の障害される領域によって症状の出る体の部分が異なります。
上肢と下肢に症状が出る部位を障害されると、手足をスムーズに動かせなくなる症状(例:物に触ろうとしたら勢いよく手を伸ばしすぎてしまう、大きく振るうような動きになって力のコントロールができない)が現れます。
体幹に症状が出る部分を障害されると、歩く時にバランスが悪く大股になったり、リズム良く歩けない症状が現れ、障害部位によっては座ったり立ったりの状態を保持できず、よろめく状態になります。
また、眼球が揺れる症状が出る場合もあります。
②前庭性の運動失調症
前庭性とは、いわゆる平衡感覚に関わる部分であり、体の平衡を保つために重要です。
脳の中の「脳幹」と呼ばれる部分が障害された場合に生じうる状態です。
頭の位置が変わる動作(例:寝ている状態から起き上がる時など)で、反射的に上手く体のバランスを保つことが難しくなります。
小脳性の運動失調症とは違い、上肢や下肢単独での障害はみられません。
立った状態で目を閉じると、障害された側に体が傾くのも特徴的な症状です。
③大脳性の運動失調症
脳の中でも大脳の「前頭葉」と呼ばれる部位が障害されることによって生じるものですが、発生の機序については概念がはっきりしていません。
症状は小脳性とよく似ており、脳の障害部位と反対側の体に症状が現れます。
運動失調症のリハビリ:自主トレーニング
運動失調症の特徴を踏まえて、自主トレーニングをご紹介します。
これからご紹介するものは、主に小脳性の運動失調症に対するトレーニングです。
小脳性運動失調の方々を対象に、1日20分間、バランス練習を中心とした自主練習を6週間行ったところ、歩く速さが改善し、その効果は1カ月続いたという報告もあります。
上肢・体幹・下肢それぞれの自主トレーニング方法をご紹介しますので、是非参考にして取り組んでみましょう。
上肢の自主トレーニング
上肢の自主トレーニングのポイントは、自分の動きを目で確認しながら行うことです。
集中して行い、ゆっくりコントロールすることを意識しながら反復して行いましょう。
①指で鼻を触る運動
椅子に座って行います。
両手を前に伸ばし、人差し指を立てます。
健側(障害のない側)の手は伸ばしたまま、患側(障害のある側)の指先で鼻を触ります。
次に、患側の指先を健側の指先まで伸ばして触ります。
これを交互に繰り返します。
両手に障害がある場合は、左右の手を変えて同様に行いましょう。
②反復拮抗運動
椅子に座って行います。
両手を両膝の上に、掌を下にして置きます。
次に、手を裏返し、掌を上にして置きます。
これを交互にリズム良く繰り返します。
リズムが崩れた場合は一度止まり、ゆっくり→少しずつ早いテンポで行いましょう。
体幹の自主トレーニング
体幹のトレーニングは、運動失調症においてバランスを強化するために大変重要です。
体幹を強化することは、上肢や下肢のスムーズさ向上にも繋がります。
姿勢の異なる2つの自主トレーニングをご紹介しますので、バランスを崩しやすい場合は、壁に手をついて行うことから始めましょう。
①四つ這いでの手足上げ運動
床に四つ這いになります。
片方の手と反対側の足を上げ、バランスを取りながら、5秒間キープします。
お腹、背中、お尻にしっかりと力を入れて保持します。
左右の手足を変えて同様に行いましょう。
②膝立ちから片足を立てる運動
床に膝立ちになります。
膝立ちの状態から、片足を前に出して片足立ちの状態になります。
足を戻して元の膝立ちに戻ります。
左右の足を交互に行いましょう。
下肢の自主トレーニング
下肢のトレーニングのポイントは上肢と同様、自分の動きを目で確認して行うことです。
集中して行い、ゆっくりコントロールすることを意識しながら反復して行いましょう。
①足先で◯△◇を描く運動(座位)
椅子に座って行います。
患側の足の爪先で、空中に図形(◯△◇)を描きます。
なるべく綺麗に描けるよう、つま先を見ながらゆっくり行いましょう。
両足に障害がある場合は、左右の足を変えて同様に行いましょう。
②足を前後左右に出す運動(立位)
立って行います。
床に目標となるテープ(マスキングテープなど)をランダムに貼ります。
患側の足の爪先で、それぞれの目標をタッチします。
一度タッチしたら、毎回最初の立位に戻りましょう。
まとめ
運動失調症の特徴と自主トレーニングをご紹介させて頂きました。
くれぐれも転倒して怪我をしないよう、慎重に行いましょう。
今回、一般的な運動失調の自主トレーニングをご紹介しましたが、運動失調の程度や併発している症状など、身体の状態は人それぞれです。
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