リハビリ場面で、よく『物がつかめるけど、細かい動きが苦手』、『ボタンやお箸を使うと時間がかかってしまう』というお悩みを聞くことがあります。
脳卒中(脳梗塞/脳出血)の後遺症である運動麻痺や感覚障害などにより、指先の細かい動き(巧緻動作)はやりにくくなってしまう方が多くいらっしゃいます。
今回は手、指先の動きについて手の構造やトレーニング方法、お箸やペンの使い方などについて4回に分けてご紹介していきたいと思います!
前回は手の構造についてご紹介しました。
今回は、手のトレーニング方法についてご紹介していきたいと思います。
目次
つかむトレーニング
手の動きで必要な動きとして『つかむ』動作が必要になります。
つかみ方やつまみ方などは以前ご紹介した『自主トレーニングに活かす!手指の動き方』をご覧いただき、つかみ方をご確認ください。
つかみ方と言っても主には握る、押さえるが多く、その他に添えるなどがあります。
またつかむトレーニングでは、手の筋肉の中でも特に手外在筋を鍛えることができるので、握力が弱い、手首を動かすのが苦手という方は積極的にトレーニングしていきましょう。
握る
握るものの太さを細いものから太いものに変えていきます。
最初は鉛筆やボールペンなどからはじめ、サランラップの芯やペットボトル(500ml)、2Ⅼのペットボトルなど徐々に太くしていきましょう。
また、つかむだけでなく、つかんだまま手を返したり、持ち上げたりなど様々な動きを加えながらもつかみ方を変えないようにしていきましょう。
押さえる
押さえる動きでは日常生活では茶碗やお皿、紙などがあります。
掌が上を向くか下を向くかで使い方は変化します。
紙を押さえる
机の上に紙を置きます。(いらない新聞紙などが良い)
麻痺側出押さえながら健側でゆっくりと紙をちぎっていきます。
慣れてきたら紙の上に定規などを置き、定規を押さえながら直線を引く練習をしてみましょう。
茶碗や皿を押さえる
机の上に茶碗や皿を置きます。
麻痺側の手を茶碗やお皿の横に置き、垂直に当たるように食器を押さえます。
慣れてきたら机の上で手のひらを返し、茶碗を掌の上に乗せます。
腕の力がついてきたら徐々に口元に茶碗を運ぶ練習をしていきましょう。
ひらくトレーニング
指を伸ばすことはつかむより難しいと感じる方も多いと思います。
伸ばす筋肉は曲げる筋肉の量より少なく、意識しにくいと言われています。
これらの筋肉は手の甲側についている筋肉が多く、ストレッチと併せて行うことが効果的です。
以下に指を伸ばすためのトレーニングをご紹介していきます。
重りを使って伸ばす
手のひらを上や下に向けた状態で指を伸ばし、その上から重りを乗せます。
重りは指が曲がらない程度かつ、手に痛みが加わらない重さを調整しましょう。
一本ずつ動かす
指を伸ばした状態で机に手を置きます。
親指から順番に一本ずつ指を机から離します。
他の指が動いてしまう場合や一本ずつ動かすのが難しい場合は健側の手で補助しながら行いましょう。
つまむトレーニング
つまみ動作は主に以下の5パターンが多く使われます。
全部の指でつまむ5指つまみ
親指、人差し指、中指でつまむ3指つまみ
親指と人差し指の腹でつまむ指腹つまみ
親指と人差し指の指先でつまむ指尖つまみ
親指の腹と人差し指の腹の横でつまむ鍵つまみ
この中で特に指腹つまみと鍵つまみができることで他のつまみ動作につなげやすくなります。
またつまむ動作などの多くは手内在筋を多用します。
そのため他の細かい作業においても有効的です。
巧緻動作を改善するためにもしっかりと手内在筋のトレーニングをしていきましょう。
鍵つまみの練習方法
鍵つまみの動きの練習
鍵つまみをするときに重要なのが親指の動きです。
まずは親指を上下に動かす練習をしていきましょう。
親指の運動
親指をしっかり伸ばします。
親指の第一関節を伸ばしたまま根元からゆっくりと円を描くように回す
親指だけで動かすのが難しい場合は健側で補助をしながら動かすようにしましょう
指腹つまみの練習方法
机の上に手を置きます。
机に手を置いた状態のまま親指と人差し指を近づけるようにしましょう。
第一、第二関節は曲げずに、指の付け根だけを曲げるように意識しましょう。
細かいものをつまむ練習
机の上にボタンや硬貨、おはじきなどの細かい物品を置きます。
大きいものから順番につまむ練習をしていきましょう。
慣れてきたらお米やビーズ、シャープペンの芯などさらに細かいものや紙やカードなどの薄手の物をつまむようにしましょう。
また、今回ご紹介したトレーニング方法はたくさんあるトレーニング方法の一部になります。
トレーニング方法はお身体の状態に合わせて行うことが必要になります。
ご自身のお身体の状態やご自身に合ったトレーニング方法については専門家に確認しながら行いましょう。
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