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脳梗塞の後遺症について―感覚障害編―



以前のブログでも脳梗塞の後遺症についての項目がありますが、今回はさらに詳しく見ていきましょう。


脳卒中(脳梗塞/脳出血)の後遺症は“片麻痺”、“失調症状”、“感覚障害”、“高次脳機能障害”、“嚥下障害”が多く見られます。


これらの症状を5回に分け、発生するメカニズムや症状、対応方法についてご説明できればと思います。今回はその中の“感覚障害”について書いていこうと思います。



感覚って何?

そもそも感覚というと思い浮かべるのは“五感”と言われる感覚ではないでしょうか?

五感とは

・視覚

・嗅覚

・聴覚

・味覚

・触覚

(教科書などによっては平衡感覚を入れた6感としているものもあります)

の5つを指します。


しかし、この五感の他にも感覚はありますよね?

例えば痛いと感じたり、寒いと感じることもあると思います。

この五感や痛み、寒いなどの感覚について詳しく説明していきたいと思います。


まず先ほどから出てきている“五感”ですが、医学的な五感は視覚、嗅覚、聴覚、味覚、平衡感覚の5つを指し、これらは脳神経による支配を受けています。


下の図でいう1が嗅覚、2、3が視覚、8が聴覚、7,9が味覚、10が平衡感覚になります。

※その他の神経はそれぞれの触覚や運動に関わる神経です。




これは脳から直接神経枝が伸び、それぞれの受容器、(視覚なら眼球、嗅覚なら鼻など)に作用するようになっており、特殊感覚と言われています。


では触覚はどうでしょうか?

実は触覚は“表在感覚”と言われる感覚の1つなのです。


表在感覚は触覚の他に、温冷覚、痛覚、圧覚があります。

  • 触覚 ⇒物に触れた感覚

  • 温冷覚 ⇒冷たい、熱いなどを感じ取る感覚

  • 圧覚 ⇒物が皮膚などに当たっていると感じる感覚

  • 痛覚 ⇒針のような先が尖ったものが皮膚に触れたときに痛いと感じる感覚

表在感覚の他にもう一つ深部感覚という体を動かすのに必要な感覚があります。

深部感覚は運動覚や位置覚、振動覚などです。

  • 運動覚 ⇒手足がどう動いたのかを感じる感覚

  • 位置覚 ⇒関節がどの位置にあるかを感じる感覚

  • 振動覚 ⇒振動が当たっていると感じる感覚

これらの感覚はそれぞれ皮膚や筋肉、関節などにある刺激が入るとその刺激を受け入れる器官(感覚受容器)が感知し、その感知した刺激を脊髄から小脳、視床を伝い大脳に情報が伝わります。


その他に内臓感覚といった感覚もあります。

胃が痛い、お腹が痛い、頭が痛いと思ったことはありませんか?


これらは内臓感覚によって炎症や過拡張した状態を脳が把握し、痛みとして認識しているのです。


内臓感覚はそのほかにも、お腹がすいた、のどが渇いた、尿意などを感じる感覚を指します。


感覚障害ってどんな症状?

脳卒中の後遺症の中で起こる感覚障害とは主に表在感覚、深部感覚の麻痺が原因で起こっていることがあります。


たまに脳神経の近くで脳卒中が起こり視野欠損や嗅覚鈍化などの症状が起こることがありますが、今回は表在・深部感覚による感覚障害の説明をしていきたいと思います。


先ほどの項目でご説明したように、表在・深部感覚とはものに触れた感覚、痛み、手足の位置がどこにあるのかといった感覚です。


これらが障害されると触っているものが分からない、痛みがあるかわからない、手足がどこにどう動いているのかわからないといった症状がみられます。


また時には麻痺は感覚が鈍るだけでなく、鋭敏になってしまうこともあり、少し触れただけでも強い痛みとして認識してしまう、冷たいものが熱く感じてしまうなどの症状がみられることもあります。


これらの感覚障害は感覚受容器や脊髄の問題ではなく、それを受け取る側、つまりは視床や小脳、大脳が感覚受容器から伝えられた情報を誤って処理してしまった結果起こる症状なのです。


感覚障害のリハビリ

感覚障害のリハビリでは主に他の感覚を代用しながら行われます。


例えば手足の位置が分からなくなる位置覚や運動覚の障害がある場合は手足の位置を目で見て(視覚)を使ってどこにあるかを確認します。


今、手足の位置がどこにあるのか、どのように運動しているのかといった感覚を視覚で代償し、再獲得していくといった方法がとられることが多いです。


また触覚や温冷覚などは麻痺した側と反対の手足でどんな感覚かを感じ取り、麻痺した側でも同様の刺激を与え、正しい感覚を入力していく(健側で感覚を代用)方法を行います。


他にも足で地面を踏んだ感覚で足の位置を確認する(足の裏の圧覚・触覚で位置覚を代用)方法などです。


これらの代用手段を用いて、少しづつ正しい感覚を再獲得していくことが感覚障害のリハビリでは多く行われます。


自宅でできる自主トレーニング

感覚障害のリハビリでは“正しい感覚”を入力していく必要があり、正しい位置や運動の方法には理学療法士や作業療法士などリハビリスタッフのアドバイスや正しい姿勢や運動の修正が必要な場合が多くあります。


ご自宅で自主トレーニングをする場合などは鏡やご家族に確認してもらうことも大切になります。


またそのほかにご自宅でもできるような自主トレーニングをご紹介したいと思います。


① 物に触れる

感覚障害のある手足、特に手や指先でいろいろなものに触れてみることが大切です。


つるつるしたもの、ざらざらしたもの、角ばったものなど、いろいろです。


特に触りなれたもの(硬貨やタオル、ボールなど)であれば、どんな感触だったかを思い出しやすく、正しい感覚として入力されやすくなります。


② タオルや手で触る

タオルや手で麻痺したほうの手足をこするようにしましょう。


この時に強くこするのではなく、ゆっくりと柔らかく、手足や指先等細かく触るようにしましょう。



お風呂や手を洗うときにボディーソープやハンドソープなどを使用しながらしっかりと触ることも感覚障害の自主トレーニングとしては有効です。


人に触ってもらうだけでなく、ご自身で触ることも大切なので意識して麻痺した手足を触ってみましょう。


このほかにも感覚障害に対するリハビリはありますが、それぞれのお身体の状態に合わせてリハビリに取り組む必要があります。


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