日中は暖かくなってきましたが、夜はまだまだ冷える日が続いていますね。
寒い夜には暖かい飲み物を飲みたくなりますが、脳卒中(脳梗塞/脳出血)のリハビリをしているとよく、『飲み物を飲むとトイレが近くなるから控えるようにしている』、『トイレに行くのが大変だから飲み物は飲まない』という方とお会いすることがあります。
実は、脳卒中を発症すると徐々に排尿障害、特に過活動膀胱になりやすくなるという研究結果があります。
今回は排尿障害の改善に繋がるかもしれない方法についてご紹介していきたいと思います。
目次
排尿障害とは
排尿障害とは、膀胱から尿を生成した後~排出するまでの間に何らかの異常が生じ、うまく排出できない、貯めることが難しい状態を指します。
排尿障害には以下の種類があります。
畜尿障害(頻尿、尿失禁、切迫感など)
排出障害(尿閉など)
があります。
特に脳卒中を発症した方に多い症状としては、
頻尿 トイレに行く回数が一日10回以上、(夜間に2~3回以上)と頻回にトイレに行きたくなる
尿閉 膀胱に尿は溜まっている状態も、排出できない
尿失禁 意図せずに漏らしてしまう。尿失禁の種類としては腹圧性、切迫性、混合性、機能性、溢流性がある
が見られやすいです。
これらの排尿障害は性別や基礎疾患などにより原因が異なります。
脳卒中と排尿障害の関係
排尿するためには、まずは脳で尿意を感じ、尿意を感じると脳から膀胱や尿道等の筋肉の収縮をコントロールすることで排尿します。
しかし、尿意を感じる、排尿を促すなどの刺激が脳卒中の影響でうまく身体から脳へ、脳から身体へ伝わらないために、排尿障害が起こります。
また、脳卒中の急性期では意識がないことや身体を動かすことを禁止され、ベッドでの安静にしておく必要もあることから、トイレに行くことができず、バルーンカテーテルを挿入されることも少なくありません。
バルーンカテーテルの長期間の留置により、膀胱や尿道の筋力を使うことがないため、筋力低下を引き起こしてしまことで尿を貯めておくことができなくなる、排泄がうまくいかない、漏れてしまうなどの排尿障害が起こることも少なくありません。
他にも、脳卒中になると症状を抑えるために様々な薬を飲むことが多くなりますが、薬の影響などでも排尿障害が引き起こされることがあります。
頻尿を抑える方法
トイレが近いことで水分摂取がためらわれるということは脱水を促進してしまったり、濃度の高い尿が体に長時間溜まり続けてしまうということです。
脱水になると血液がドロドロになってしまったり、血管が詰まりやすくなってしまったりすることで再発リスクを高めてしまいます。
また体に濃度の高い尿が溜まってしまうと尿毒症や膀胱炎などの感染症を引き起こしてしまうことも多くあります。
脳卒中の維持期になると頻尿になりやすいという研究もあることから、今回は頻尿を抑えるための方法として骨盤底筋トレーニングについてご紹介していきたいと思います。
骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋は骨盤の底にある筋肉で、内臓を収める機能の他に、排尿時の尿道や肛門を閉めることで排尿を調整するためにも作用します。
尿漏れや頻尿などの場合には骨盤底筋を鍛えることで改善されるという方も少なくありません。
骨盤底筋のトレーニングで共通することはお尻の穴を閉める、男性であれば睾丸、女性であれば膣を上に引き上げるイメージをしながら行うことが大切です。
ヒップリフト
方法
仰向けになります
足を肩幅に開き、膝を軽く曲げます
お尻の穴を閉めるようにしながらお尻を天井に向かってゆっくりと突き出していきます
5秒かけてお尻を持ち上げ、5秒かけてゆっくりとお尻をおろしていきましょう
ドローイング
方法
仰向けになります
手をお腹の上に乗せ足は伸ばしておきます
鼻からゆっくりと息を吸いこみます
口をすぼめゆっくりと息を吐きだしていきます
息を吐きだす際、お尻の穴を閉めながら下腹部に力を入れて吐き出すようにしましょう
慣れてきたら座った姿勢や立った姿勢でも行うようにしましょう
今回は頻尿などに焦点を当てて骨盤底筋トレーニングをご紹介しました。
このほかにも尿閉の方や尿失禁の方に向けたトレーニングや今回ご紹介した以外の頻尿の方の他のトレーニングもあります。
しかし、どのトレーニング方法も現在の排尿障害の症状やお身体の状態に合わせて選択する必要があるため、まずは泌尿器科やかかりつけ医に相談するようにしましょう。
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