脳卒中(脳梗塞/脳出血)の後遺症がある中で生活をする上で大変なことがたくさんあると思いますが、その中で「車の運転はできるのだろうか?」と思われる方も多いと思います。
今回はそんな車の運転に必要な能力や後遺症があっても運転ができるか確認をしたいと思ったときの対応方法についてご説明したいと思います。
目次
車の運転に必要な技術
まず、運転をするにあたり必要な技術について確認していきたいと思います。
①ハンドル操作
車の操作をするために必要なハンドル操作についてです。
教習所ではハンドル操作の際には両手でしっかりと握るように教わると思いますが、麻痺があると両手で操作がしにくくなることもあります。
そのためハンドルにカバーを付け握りやすくする、片手でも操作しやすいようにグリップ(ハンドルスピンナー)をつけるなどの方法を試してみるのもいいのではと思います。
② ペダル操作
AT車であれば、ペダル操作は右足が中心になりますが、右足に麻痺が残ってしまう方もいらっしゃると思います。
現在、福祉車両などでは左足操作ペダルに改造するなどの対応もしている会社があるのでお身体に合わせたカスタムが必要になります。
福祉車両専門の業者にご相談してみることをお勧めします。
③ その他の操作
ウィンカーやワイパーの操作などのレバー操作を片手でできるようにレバーを延長することもできます。カスタムが必要になるのでお近くディーラーなどにご相談してみることをお勧めします。
④注意機能
車の運転では前方だけでなく、後方、側方または遠方を確認する必要があります。また運転操作に集中しながら周囲の状況も注視しないといけないなど、いろいろな箇所に注意を払う必要があります。
この色々な状態へ注意を払うことを“分配性注意(配分性注意)”と言います。また前に注意していたが、車を停車させるためにバックに切り替えるなどスムーズに注意を切り替えることを“転換性注意”と言います。
車に乗るときには主に前に注意を払いながら運転する必要があり、集中する必要があります。この注意を“持続性注意”と言います。
これら3つの注意の種類が必要であり、それぞれどの注意が苦手なのかを確認し、運転する必要があります。
⑤前頭葉機能(遂行機能)
運転における前頭葉の機能は大きく分けて3つあります。
一つ目は教習所や免許更新の安全講習などでよく耳にしたこともある言葉として『かもしれない運転』というものがありますが、『かもしれない』を考えるのは前頭葉です。
前頭葉機能は物事を推測する能力も含まれており、『車の脇から人がでてくるかもしれない』、『前にいる車が左に曲がるかもしれない』などいろいろな『かもしれない』があるので、運転の場面に合わせた『かもしれない』を考える必要があります。
二つ目は運転中には様々な推測や準備の手順を踏む必要があります。
例えば左右に曲がるためにウィンカーで合図を出す⇒周囲に車がいないか確認する⇒左右に寄る⇒巻き込みがないか確認する⇒ハンドルを切るなど右左折をするだけでも工程がたくさんあります。
この工程の順番を組み立てるのも前頭葉の機能のひとつになります。
三つ目はイライラした気分を抑える機能です。
前頭葉は感情を抑制するための機能もあります。
車は大きい機械がスピードを出して走るものなので感情に任せた運転をすると運転手だけでなく、同乗者、歩行者、他の運転手を巻き込む事故につながってしまいます。
⑥記憶力
運転をするために直接関係のある能力ではありませんが、目的地にたどり着くためには道順を覚えておく必要があります。
道順を確認するためにカーナビに注意を払いすぎて追突してしまったなんていう事故も起こる可能性があるので記憶力も運転をするためには必要な機能と思われます。
運転に必要な能力の自主トレーニングについて
運転に必要な身体の操作のほかに注意機能、前頭葉機能、記憶力などの機能は高次脳機能と呼ばれ、脳卒中後遺症の方に見られやすい障害と言われています。
今回はその高次脳機能のなかで運転に関わる高次脳機能の自主トレーニングをいくつか紹介していきたいと思います。
注意機能の自主トレ
先ほどご紹介した分配性注意機能の自主トレとしてはまずは簡単なことを2つ同時に行ってみることをお勧めします。
例えば
テレビのニュースなどを見ながら計算問題をして、ニュースの内容を後で書き出す
新聞の記事を理解しながら読み進めつつ、選んだ言葉が出てきたら〇をつける
簡単な計算問題をしながら家族と会話をする etc…
持続性、転換性の注意機能はこれらのトレーニングをしていると同時に鍛えられることが多くあります。
まずは2つの課題を同時に進める練習(ダブルタスク)を行いましょう。
前頭葉機能の自主トレ
物事を推理したり、順序だてたりする機能です。
朝起きてから夜寝るまでの行動を順序だてて書き出す、作業する工程をすべて書き出すなど、必要な過程を書き出すことも順序だててものごとを考える作業です。
注意点としては、【ほかの人が見てもわかりやすいように書く】という点です。
他人が見たときにわかりやすいようにしようと考えることで、前頭葉の働きは活発になります。
その他に、最近では脳トレと言われていることも多く、ドリルなどが販売されていることも多くあります。
クロスワードも前頭葉機能のトレーニングになりますが、脳トレなどでは具体的に前頭葉機能トレーニングと書かれているものもあるものも書店などそろえているところも多くあります。
記憶力の自主トレ
前に見たことのあるニュースや文章などを覚えておく練習なども有効です。
覚えておく練習をする際に、直後に内容が正しいか、10分後、30分後、1日後などでも覚えておくようにすると記憶力が鍛えられます。
思い出すことが難しい場合などは、思い出せるような単語をメモし、メモを見れば内容が思い出せるように練習することから始めましょう。
また、記憶力のトレーニングでも脳トレとして多くのドリルなどが販売されています。
運転許可について
運転ができるかを評価・判断するのは医師ですが、最終判断は公安委員会です。
必要に応じて医師の診察を受けたり、免許センターや警察署での相談が必要になります。
場所によっては自動車学校などで講習を引き受けてくれるところも出てきているのでお近くの自動車学校等に連絡を取ってみるのも一つの手段になります。
また、最近では病院などでもドライブシュミレーターなどを導入し、自動車運転評価をしてくれるところも増えてきています。
受診のためには事前予約が必要なところが多いので、受診されたいという方は一度、お電話などでご相談することをお勧めします。
また、高次脳機能の練習では環境や練習方法を決定する際に、一人ひとりのお身体の状態や能力に合わせて行う必要があります。
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